俺様上司と身代わり恋愛!?


とういう事で、〝これから何度か会ってから破談にしよう〟という方向で話はまとまり、そこで連絡先を交換。

その後、最初から断る気満々だったお互いが、周りの事情を考えた上、仕方なく挑んだお見合いなんだなぁと改めて思い、「大人って大変だな」とふたりで苦笑いをもらしたのだった。

本当に、美絵のお父さんも笹川専務も放っておいてくれればこんな面倒な事にはならなかったけれど、立場がある人はそうもいかないのかもしれない。

まぁ、そんなこんなで、桐崎課長と私の関係が、その日を境に少し色を変えたわけだ。


「あ、おはようございます」

月曜日の朝。ホールでエレベーターを待っていたところで、隣に並んだ課長に気づいて挨拶をする。
「おう」とテンション低めに答えた課長は欠伸をかみつぶしながら、ぼんやりと開かない扉を眺めていた。

私が勤める銀行は六階建てで、一階部分が預金、二階部分が融資の営業スペースになっている。

三階から五階には事務を行ういろんな部署が入っていて、最上階である六階には、頭取や専務たちの個室が並んでいる。

昨日の事は、ふたりだけの秘密として約束してある。

私としてみれば、替え玉だという事がバレるのは美絵的にマズイし、課長からしても、その気もないのに美絵本人に出てこられるよりも、替え玉の私との方がやりやすいし気が楽らしい。

だから、このまま私が美絵の替え玉として、何度か課長に会い、そして最終的にお互い性格の不一致で断る予定だ。

作戦に近い約束は、まるで仕事の話でも進めるように、すんなりとすんだ。
破談までのシナリオはもうバッチリだ。



< 17 / 174 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop