俺様上司と身代わり恋愛!?


振込の確認は、口座へ誰からいくらの振り込みがあったかを確認するもので、取引先企業から頻繁にかかってくるものだ。
高橋さんも今野さんも、応対はもうきちんと覚えている。

だから、それなら大丈夫かと、高橋さんへのレクチャーに戻ろうとしたのだけど。

「分かりました。では折り返しお電話致しますので」

そう言って切ってしまった今野さんに少し驚きながら、視線を戻して……躊躇しながら話しかけた。

「今野さん」と呼ぶと、一拍置いてから今野さんの目がこちらに向けられる。

じとっという、決して好意的ではない視線に気づきながらも、そこは今更もう注意しない事にする。

……後輩に睨まれて注意もできないのはどうなんだとも思うけれど、仕方ない。
今野さんを前に、私の先輩としての威厳なんてないに等しいんだし、気にするだけ時間の無駄だ。

そんな個人的な威厳よりも、仕事が最優先だ。

そう自分に言い聞かせて、苦笑いになりそうな顔に、努めて笑顔を浮かべた。

「あのね、口座番号から調べれば相手の連絡先は載ってくるけど、相手にも連絡先は一応聞いてね。
それと、電話を取った時に、自分の名前も言わないと……」
「別にいいじゃないですか」
「え?」
「お客様からクレームがきたわけでもないんだし」

今野さんの言葉に、預金課の空気がピタっと止まる。

そして、ああまた始まったか……?という無言のチラリ視線がこちらに注がれるのが気配で分かった。

カーンと、ゴングの音が響いた気がしたのは気のせいか。


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