俺様上司と身代わり恋愛!?
「最初のうちはひとりで処理する事はないから大丈夫だよ。私もやっと慣れてきたところだし」
「でも、なるべく早くストップかけないと、盗難だったりした場合、使われちゃう可能性もあるんですよね?」
「うん。だから、お客様が混乱してどの通帳なのか番号が分からなかったり、あとはストップかける件数が多い時は、顧客番号ごと一時的に止めて、それから個別ストップをかける場合も結構あるかな。
全部を止めちゃえば、個別の処理はゆっくりできるし」
「ああ、確かに」
「で、個別の処理が全部済んだら、全体のストップを解除して……」
と、隣に座る高橋さんに事故届の処理の仕方をレクチャーしていた時、電話が鳴った。
丁度いいと、試しに高橋さんに取らせてみようかと思っていたところで切れてしまい……。
見れば、デスクをふたつ挟んで向かいに座る今野さんが、受話器を持ち上げたところだった。
「はい。預金課です。……はい、分かりました。繋いでください」
壁の高い位置にある回線版は、電話が外線か内線かを示す役割がある。
外線のランプが光っているところを見ると、どうやら一階二階部分にある営業店なり他の課が取次したものが回ってきたらしかった。
「お待たせしました。お電話かわりました」と淡々と話し出した今野さんに耳を傾ける。
今野さんのコーチャーをしている恩田さんが、今は席を外しているから、念のため。
「ああ、振込照会ですね。口座番号お願いします」
今野さんの受け答えに、電話内容が振込確認だと分かり、息をつく。