俺様上司と身代わり恋愛!?
「週刊誌だから進み早いもんね。月刊ならまだ追えるんだろうけど」
「ですね……。ところで志田さんは、何かお目当ての本とかないんですか?」
「んー、これといって特には。漫画は単行本派なんだけど、まだ出てないし」
「そうなんですか」と相槌を打って、そういえば最近コミック本のコーナー見てないし覗いて行こうかなぁと考えていると。
一度視線を外した後、私を見つめ直した志田さんが少し言いづらそうに口を開く。
「あのさ、もしこれから時間あるなら、夕飯でも一緒にどう?」
「え……」
「もちろん、よかったらだけど」
志田さんはきっと、深い意味なんてなく、ただ偶然会ったし、どうせご飯食べるなら一緒に食べてもいいか、くらいの気持ちで誘ってくれたんだろうけれど。
それでも十分なほど嬉しくて……。
「こちらこそ、よかったらご一緒させてくださいっ」と少し威勢よく答えすぎてしまった私を、志田さんがホッとしたような笑顔で見るから、胸がギュッと掴まれた気がした。
しんとしているわけでも、ざわざわとうるさいわけでもない店内。
私の胸があげた、ぎゅううっという悲鳴が聞こえるかと思った。
志田さんが連れていってくれたお店は、パスタ屋さんだった。
見渡す限り、すべての座席が身長ほどの高さの壁で区切られていて、話しやすそうだなという印象を持つ。
照明が全部間接照明で、店内は薄暗く落ち着いた雰囲気だった。
敷き詰められた砂利の真ん中にタイル敷きの道が伸びている。
そこを通って案内されたのは、ソファーがL字型になっている半個室だった。