俺様上司と身代わり恋愛!?
「あれ、吸うんですか?」
胸ポケットから黒い煙草の箱を取り出した課長に聞くと「一本だけ」と言われる。
課長が喫煙者だって事は知ってはいたけど、あまり本数吸わないのか、業務中も席を外してまで吸うという事はない。
だから、吸ってる場面なんて見た事がないだけに少し驚いて眺めていると、鬱陶しそうに眉を潜められた。
「そこいると煙が全部行くからそっちいろ」
「あー、はい」
喫煙室の広さは六畳くらい。
真ん中のあたりに、胸の高さまである小さなテーブルがふたつ置いてあるだけですごくシンプルな造りになっている。
立ったまま肘を置くのにちょうどいいくらいの高さだ。
テーブルの上には灰皿がいくつか重なっていた。
課長の後ろに移動しながら上を見ると、課長の斜め上の天井に換気扇がついている事に気付く。
さっき私が立っていたのは課長の真ん前だから、確かにそのままそこにいたら煙が直撃だったかもしれない。
斜め後ろに立ちながら眺めていると、課長は黒い箱から煙草を一本取り出して口にくわえる。
そして箱と入れ替えにライターを取り出すと、片手で煙草の先を隠すように覆ったあと火をつけた。
赤い火が煙草の先に移り、ふーっと息を吐くと、白い煙が換気扇へと吸い込まれていく。
それを眺めていると、課長が顔半分振り返った。