クリスタリア~隠された闇~

風の声


そしてある日、

今日もまたアルネイ達と草原で話し合って

いた。

それも、神の世界には慣れてきた頃だった。

いつもの様に話し合っていると、アルネイ

がいきなり静かになった。

声をかけても反応しない。


『どうした?』

「何かあった?」


サアァァァァア...


「風が…騒がしいの」

『どっかで何かあったのか?』

「わからない。探ってみる。」


目を閉じて心を落ち着かせているアルネイ。

俺とネプートは黙って見ていることしかで

きなかった。

暫くその状態が続いていた。

するといきなりアルネイが泣き出してし

まった。


『えっ!?アルネイ!?どうしたんだよ!!』

「うっ……ぐすっ…」

「どうかした!?」


アルネイはゆっくりと目を開けて、


「風が………泣いて、るの。」


そう口にした。


『えっ?』


風が…泣いてる?

アルネイは風の神だから、風を操れる。

でも力はそれだけじゃなく、

風の声も聴けるのだった。

…ごく最近に出来た力だけど。


『アルネイ。ゆっくりでいいから、見たもの聞いたものを話してくれ。』


俺は出来るだけ優しく声をかけた。

少ししたらアルネイは落ち着いて、

さっきの事について話し出した。


「景色はぼやけててわかりずらかったんだけど、その場に吹いてた風の声が聞こえた。」


俺達は黙ってアルネイの話を聞いていた。


「人間が怖いって。醜いって。
そう言って、風は泣いていた。」

『うん。』

「どういう意味かは分からなかったけど、
凄く悲しかったっていうのは伝わってきた。」


アルネイは最後「いきなり泣いてごめん

ね!」って言って引きつった笑顔を俺達に向

けてきた。

俺達は、元は人間だって言われてる。

けど、当の本人たちは人間だった頃の記憶

がない。

俺達も、その内の1人。

でも今は、神なんだ。

そんな事を考えていると、

白い鳩が俺達に手紙を届けてくれた。

手紙を出してきたのは……

王……宮?






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