にゃおん、と鳴いてみよう
プロローグ

 ものごころついた時には、“そこ”にいた。

家の中には、大きな箱や壊れかけたイス、なんに使うのかよくわからないものがたくさんあって、その中には食べるものもたくさんあったんだけど、なんかいつも嫌なにおいがしてた。


あたしはそこに、ママと、お姉ちゃんネコ三匹と、他のネコ家族と、『主さん』って皆が呼んでるお年よりのニンゲンと一緒に住んでいた。

 
主さんはよくどこかに出かけて行っては、大きな袋や壊れかけのものを抱えて帰ってくる。
色んなものを家の中に置いているから、ネコの出入りは気にしてないみたい。

家にいるときは、いつもテレビをつけてゴロンってしているの。

主さんの食べ残しや色んなものをもらえて、雨も風もしのげるから、行き場の無いネコは皆ここに集まっている。


周りのニンゲンたちは、この家のことを『ゴミ屋敷』と呼んでるらしいけど、ネコの集まりでは、この家は『ゴハン屋敷』って呼ばれてる。

困ったらここに逃げ込むのは、この辺りのネコの中ではお約束みたいなもの。

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