にゃおん、と鳴いてみよう
ママの恋物語

ママは綺麗な三毛猫さん。
お姉ちゃん三匹もママそっくりの三毛。

一緒に生まれたのに、あたしだけ皆より一回り小さくて真っ黒だった。

小さくたって負けないわようって思っているけど、つらいのはママのおっぱいをもらうとき。
お姉ちゃんたちもお腹が空いてるから必死で、いつもいつの間にかあたしだけあぶれちゃうの。

お腹すいたようって思っていると、後からママが呼んでくれる。
あたしは嬉しくって、喉をならしてママにすり寄るの。

だからかな。
おっぱいをもらわなくても良くなってからも、あたしはママにすり寄るのをやめなかった。
だってこれは、あたしとママの挨拶だもん。


子供の中で、あたしが一番小さいから、ママはあたしのことをチビちゃんって呼んでた。


「にゃおん」


あたしが鳴くと、ママは目を細めて笑う。
チビちゃんの声は可愛いねって、その声が大好きって、いっつも言ってくれた。

褒めてもらえるのが嬉しくって、あたしはいっぱい鳴いた。
そうするとお姉ちゃんたちにうるさーいって言われて、しゅーんとなって、ママの傍にひっつくの。

あたしが落ち込んだとき、ママはあたしの毛を舐めてくれる。

ママの舌はすごいんだよ。毛並みをツヤツヤに出来るの!
ピカピカの艶のある黒い毛はまるで宝石みたいで、その度にあたしは、特別なネコになったような気になった。

女王様を気取って、ツンとすましてママをみると、チビちゃんはパパにそっくりって笑う。
そうしていつも、ママの恋のお話をしてくれた。
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