だから、俺にしとけよ。
「どこのどいつか知んないけどムカつくわね」
私の代わりに怒ってくれる歩美ちゃん。
私のことでこうやって怒ってくれたり心配してくれるのは不謹慎だけど、すごく嬉しい。
「絶対見つけたら1発ぶん殴ってやる。
いや、1発じゃ足りない!往復ビンタ10回以上しないと気がすまない!」
「あはは、痛そう」
苦笑いをするけど、心は痛む。
誰かに私のせいで嫌な思いをさせちゃってたりしたのかな?
正直思い当たる節は全くない。
無意識にしていたことなら、なかなか気づくこともできない。
「伊都ちゃんどうしたの?」
「あ、上靴持って帰って洗ってたら持ってくるの忘れちゃった」
入谷くんに声をかけられて、京ちゃんに言ったことと同じ理由を言う。
「それ目立つじゃん。
俺の履きなよ」
「いや、そっちの方が目立つし別にいいよ!」
「履いてよ」
入谷くんは私のスリッパを脱がし、自分の上靴を履かせる。
ほぼ無理やりに。