だから、俺にしとけよ。



「ぶかぶかだよ」


「伊都ちゃんの足が小さいだけでしょ」


「やっぱりいいよ!
スリッパの方が落ち着く」


男子にしては綺麗な上靴。

大きくて私が履くと何かのキャラクターみたいだ。


それを脱ごうとするけど、入谷くんは止める。




「これで俺の気が済むんだから履いといてよ」



ニコッと微笑んで自分の席に戻っていく。

強引なところは変わってない。


自分で決めたことは通してしまう。


マイペースだけどそれは自分に正直で他人に合わせないってこと。


しっかりと自分を持っていて真っ直ぐな入谷くんがうらやましかった。




< 236 / 370 >

この作品をシェア

pagetop