だから、俺にしとけよ。




いろんな女と遊ぶことなんてもうできない。


好きな人じゃないと意味がないって分かった。




「恋愛感情を理解できただけで十分だよ。
俺を変えてくれてありがとう。
ずっとそばで支えてくれてありがとう」


「うぇっ……」


「伊都の泣き顔見るの久しぶりだな」



あんまり俺の前じゃ泣かないから。

陰ではたくさん泣いてたんだろうか。



伊都の涙を拭いながら、ふっと笑う。




「あいつと、幸せになってよ」



本当は俺が幸せにしてやりたいけど、俺じゃもう伊都を心の底から幸せにはできないだろ?



だからせめて、大好きな初恋の相手の幸せを願いたい。




< 293 / 370 >

この作品をシェア

pagetop