だから、俺にしとけよ。
伊都を引っ張って、さっさと校舎に入り教室には行かずに別棟の空き教室に行く。
そこで伊都と向きあう。
「無理、してるだろ?」
さっきの続きの話をするけど、伊都は首を横に振る。
もう分かってるから。
「俺のことは大丈夫だから」
「だって京ちゃんがまた寂しくなったら嫌だもん!
今度こそ辛くなった時に無理やりにでも一緒にいて私が慰めてあげるって……」
ついに泣きだしてしまった伊都を抱きしめる。
俺が伊都を縛り付けてしまったのかもしれない。
伊都が離れていくのが嫌で、俺はずっと自分の気持ちを押し付けていたから。
もうとっくに気づいていたのに、ここまで引きのばしていた。
「俺は伊都を好きになれて良かった。
恋を知ったあとじゃ、前みたいな生活には戻れないから」