未熟女でも大人になっていいですか?
「独りにしないと約束してくれるなら……それから……」


望さんの胸に擦り寄る。

私と同じくらいに速く動く心臓の上に掌を置いた。



「私を大人の女にして欲しい……望さんの手で、染め直して欲しいの……」



染められたい。

家の壁みたいに。

色鮮やかに生まれ変わって、そして明日、貴方の家族に会いに行きたい。




「後悔するなよ」



近寄られた体温がいつもよりも熱いと感じた。

でも、その熱を冷まさずに、更に上げていきたいと願った。


重ねられた唇が乾いている。

自分の唾液と高島の唾液が混ざり合って、私はようやく人を受け入れることの大切さを実感した。



肩を抱かれて歩き始めた。


響く波音と香る汐風は、これからもずっと胸の奥に残っていくだろうと思う。

高島と結ばれた日の記念として、永遠に失わないものとなるのだから。




< 103 / 208 >

この作品をシェア

pagetop