未熟女でも大人になっていいですか?
優しいタマゴ色の光に包まれて目覚めた。

明かりに照らされている見慣れない部屋の景色をぼんやりとしたまま目に入れる。


(ここは……?)


頭の中が痺れて考えられない。

思考がついていかない上に全身が重くて仕方ない。



(苦し……)


寝返りを打ちたくても体が動かない。

何かが体に巻き付いていて、思う様に動かせない。


完全に自由を奪われている。

一体、何に……?



「ん……」


微かに動かせる指先を伸ばした。

生温かい皮膚の感触に驚いて、慌てて手を離す。


静かな寝息が聞こえる。

髪の隙間から生温かい湿った息が吹きかかっている。



(もしかして、望さん……?)


筋肉質な素肌に触れた。

柔らかなうぶ毛の感触にハッキリと憶えがある。


その腕に抱かれながら体を貫かれた。

優しい囁きと一緒に、溢れるほどの愛を貰った。


足を交差して何とか体の向きを変えた。

浴衣も身に付けずに寝入っている男に擦り寄り、ほぅ…と深い溜め息を吐く。


汗ばんだ皮膚の感触が蘇る。

密着を繰り返し、何度も「愛してる」と言ってくれた。


…きゅっと胸が締まって苦しい。

そのままの態勢で暫く彼の体温を感じた。



「……何時だ?」


寝ている筈の男の声がした。



「知らない…」


くぐもって答える。

擦り寄っている私を抱き寄せて高島は頭元に手を伸ばした。



「5時半か…」


いつも起き出す時間を口にする。


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