未熟女でも大人になっていいですか?
高島からは実家の両親について若干の知識をもらったけれど、それも大したことではない。

どういった方達なのかは、会ってみないと分からない。



(会わせてくれるつもり、ある…よね……?)


考えながら迷う。

これで「ない」とかだったら、それこそショッキングだ。


(聞いてみる?ご両親に会わなくていいの?と…)


ドキドキしながら考え事に蓋をした。

学園長が入って来て朝礼が始まったからだ。




1校時目は一年生の現国。

各教室を回りながら質問を受けたり、解いている様子を観察する。

帰国子女の多いこの学園で、『現代国語』を教えるのは気を遣う。


日本語よりも英語を使う生活を主にしている子が多い。

そのせいで、毎年成績が伸び悩んでいる。



(それでも今年の子達はまだ解いてる方かな)


中学生程度にまで問題のレベルを落とした。

これが以前に勤めていた学校なら生徒に笑われそうなくらい簡単だ。



以前に勤めていた学校ーーー


思い出したくもないキーワードだ。

私にとって、嫌な思い出しかない場所。


(考えるのは止そう。今は試験中……)


首を振り雑念を払う。

滞りなく初日の試験は終わり、多量の解答用紙を手に家路についた。



「仙道さん、高島さんに宜しくね!」


式には呼んでよ…と念押し。

だから、まだ何も決まっていないと言っているのに。


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