未熟女でも大人になっていいですか?
「音無さんは気楽でいいな。私は今夜のことを考えると気が重い……」


昨夜のことを思い出した。


同じように迫られたとして、今夜もまた駄目というのはナシにして欲しい。



(…と言うか、今夜は採点をやらないと……)


早目に見直し。

そして、傾向と対策を考える。


「午前様になる前に採点が終わればいいけれど無理よね…」


1学年で80名はいる。

二年生の古文まで含めると全部で160名分。


「気の遠くなりそうな数だし」



一枚一枚の採点は、いつも相当な時間を要する。

解説を付けて返して、後で確認し易くしているからだ。


「今夜は迫られても断ろう。試験が終わるまで待ってもらおう」


元はと言えば高島が悪い。

昨日のうちに済ませてくれれば、何も困ることなんてなかったのに。


「いっそのこと、来年まで保留にしちゃう!?」


そんなことなんて耐えられない。

昨日の続きを1日でも早く経験したいのは、きっと自分の方なのだから。



(私って、かなりエッチ!?)


考えながら顔が熱くなった。

未熟女のくせに恥を知れ。

そんなに高島に抱かれたかったなら、昨日のうちにそう言えば良かったんだ。


(それができれば苦労はしないか……)


相手は気分が悪そうにしているのに無理してでもやって欲しい…なんて頼めない。


大人らしい対応をする。

それ以外にどんな術があるだろう。


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