未熟女でも大人になっていいですか?
「さっきは幽霊がいるのかと思って、背中がゾクッと震えたわ」


高島が淹れたお茶を啜り、伯母は嬉しそうに話しだした。


「幽霊って俺が?」


「どういう意味なの?」


聞き返す私達の顔を眺めて吹き出す。


「伯母さん?」


「何だって言うんだ。本当に」


いつも以上に朗らか過ぎる伯母を見つめ、私と高島は困惑する。


「ごめんなさい。高島さんがあまりに義兄さんに似ていたからビックリしてしまったの!」


「えっ!?お父さんに!?」


声を上げてしまった。

伯母はにっこりと笑いかけ、遠い眼差しを彼に向けた。


「本当に雰囲気がそっくり。ここに姉さんがいたらきっと泣いて喜ぶわね」


仏壇の方へ目を配った。

穏やかな表情の奥には、亡き人の元気な姿が映っているようにも見える。


「姉さんが義兄さんに出会った頃のこと、少しだけ教えてあげようか?」


死人に口無しだから時効よね…と呟き、物語は静かに始まった。




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