未熟女でも大人になっていいですか?
「お見合い写真が我が家に届いたの。しかも、それは偶然にも間違いで」


「間違い?」


「そんなもの間違えて届く?」


ますます混乱してくる。

長くなりそうな話の予感に、高島が「夕飯を食べてからにしないか?」と言いだした。



「私は早く続きが聞きたいわ」


「でも、『急がば回れ』とも言うぞ」


国語教師でもないのに諺を口にする。


「望さんはお腹空いているだけでしょう?」


「『腹が減っては戦はできぬ』と言うじゃないか」


「故人の受け売りばかり言って…」


「腹の虫が鳴り出す前の得策だ」


あー言えばこう言うを繰り返していると、桜伯母さんは呆れる様な顔つきをして聞いた。


「……貴方達、いつもそんな感じなの?」


ハッとして伯母を振り返り、2人して目を見合わす。


「そうですね」


「そう言われてみると、大概こんな感じかな」


認める以外に術のない私達の言葉を聞いて、伯母さんはまたしても驚いた。



「似た者同士が極まってるわ」


「えっ?」


「何それ?」


呆気に取られて伯母の顔を見つめる。



「とにかく話は後からにしましょう。私も仏壇を拝みたいから」


「う…うん…」


納得いかないまま話は途切れた。

夕食作りを手伝ってやると言う高島に感謝しながら和室で仏壇に向かっている伯母の背中を気にする。


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