未熟女でも大人になっていいですか?
「未熟な私の元へ新しい生命が来たような気がするの」


まだハッキリとはしないけれど、多分間違いない気がする。



「えっ……まさか……」


身に覚えのある男は一瞬で顔をひきつらせた。



「本当か…?」


嘆くような響きにも似ている。


「間違いでなければ、迎えてあげてもいい?」


私と高島の愛の結晶。

これ以上ないくらいの宝物になる筈だ。



「……駄目だと言ったらどうするんだ?」


喜んでくれると思った相手は、冷たい目線を向けて聞き直した。


自由でいたい男を確実に縛る存在。

その奇跡を前にして、両手を挙げて歓迎とはいかない風だ。


「どうするもこうするも粗末にはできないし」


覚悟ができているようで出来ていなかったのかもしれない。

高島の顔を見つめたまま沈黙の時間が流れた。


私から目を逸らした男は仏壇の方へ向き直り、静かに拝み続ける。

バクバク…とした動悸が耳の中にこだましてきて、余計に心配が広がっていく。



もしも、高島が産んではいけないと言ったら……

その時は……どうすれば……いい……?









「………産んでいいよ」


横を向いていた男の顔がこっちを向いた。

バクバクと打ち震えていた心音が急に跳ね上がる。


 
「……産んでいい…って言うか、産んで欲しい」


真面目そうな顔が赤く染まった。


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