未熟女でも大人になっていいですか?
「婆ちゃんも望んでいることだし」


「の、望さんは!?」


思わず問い質してしまう。



「俺?まぁそこまで熱望もしてなかったけど……」


「でしょうね……」


しょんぼりと肩を落とす。



「でも、できないで欲しいと思ったことは一度もねぇぞ」


明るい声が返ってきた。



「えっ!?」


微かに膨らむ期待。

高島は私の手を持ち上げ、両手でぎゅっと挟んだ。


「アラフォーだから無理はしなくてもいいと思ってた。でも、本当なら体を大事にして元気な子を産んで欲しい。

一緒に育てていこう。カツラと俺の子供。…あっ、でも、これでまた暫くお預けだなぁ……」


残念そうに呟く。

さっきの不満そうな顔はそっちのことが気になっていたせいか。



「もうっ、望さんったらヒヤヒヤさせて!」


縮こまりそうだった心臓が、ホッとしたように脈を打ちだす。

鎖骨の上に額を乗せ、馬鹿馬鹿!と胸を叩いた。



「ごめん、ごめん」


よしよし…と子供のように後ろ髪を撫でられる。



「良かった……嬉しい……」


涙が頬を濡らす。


30歳をとっくに越して、出産どころか妊娠もできるかどうか不安だった。

その中で気づいた今日の出来事は何よりも嬉しい吉報に違いない。



「婆ちゃん達に知らせるか」


「でも、まだハッキリしていないし」


「いつになったら分かるんだ?」


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