未熟女でも大人になっていいですか?
「貴方、自分がハンサムだと気づいてないんじゃないの!?」


「ハンサム!?僕がですか!?」


「そうよ。自分の顔、鏡で見たことないの?」


「飽きる程見てますよ。毎朝毎晩」


顔洗う時と歯磨きの時だけ。


「免疫慣れし過ぎるのも毒ね。呆れるわ」


(あんたに言われたくないよ)


言いたい言葉を全て飲み込んでいるところへコーヒーとジュースは運ばれてきた。



「どうぞ、ゆっくり飲んで頂戴」


「はい。ご馳走になります」


(くっそー)と負け惜しみにも似た思いを抱きながら白いカップを手にする。


確実に豆から挽いていると思われるコーヒーは芳ばしい香りを立てていた。



「……美味いです」


一口味わってから感想を述べた。

目の前でミックスフルーツジュースを飲み込んでいる女の顔が緩む。


艶やかで美しい人だと思う。

でも、これで性格が良ければ尚文句無しなのだが。


「誘われて良かったでしょう」


常に一言多い。


「はい、まあそうですね」


お陰で何も言えない。


「船頭さんて幾つなの?」


「はっ?歳のことですか?」


「そうよ。それ以外に何のことがあるって言うの?」


聞き返されたからって歯向かうなよ。


「いえ別に……そうですね、僕は現在21歳ですが……」


「21!?うそぉぉ!」


「嘘じゃありません(失礼な驚き方だな)」


「私よりも年上だったの!?」


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