イジワル上司に焦らされてます
「何よりデザイナーとしての私は、これまで精一杯頑張ってきたから。だから今は……結構、スッキリしてるんだよ」
そう言うマキの目にはもう、迷いは感じられなかった。
ついさっきまで、うるさいくらいに賑わいでいた店内が、今は何故かとても静かに息を潜めているように感じる。
……もうきっと、マキは随分前から、この答えを選ぶことを決めていたんだ。
今日までずっと一緒に励まし合ってきたマキが、結婚してデザイナーを辞めてしまうのは、すごく寂しい。
本当なら、これからもマキの仕事を見ていたいし、マキが同じ業界からいなくなるのは心細くもある。
でも、それ以上に私は……
大好きなマキが選んだ道を、心の底から応援したいとも思う。
マキが選んだ道なら、それはきっと、彼女の幸せに続いていく道だと思うから。