イジワル上司に焦らされてます
「…………あれ?」
けれど、ビルに着いてエレベーターに乗り、オフィスのある階で降りて廊下を歩いていけば、目に映ったのはぼんやりと灯る明かり。
まさか、誰かまだ残って仕事してる?
その明かりは間違いなく目的地であるオフィス、assortから漏れていて、思わず急いでいた足が止まった。
今日は、珍しく早めに上がれるかもってカニさんもサルさんも話していたのに、まさか社長でも残っているんだろうか……
だとしたら、アルコール臭を漂わせてオフィスの中に入るのは気まずいなぁ、なんて。
そんなことを思いつつも、時間もない上に財布がないと帰ることもできない私は、観念してオフィスのドアを開けた。
「…………え、」
「は?」
すると、ドアを開けた先。
そこにいた思いも寄らない人物に、その人同様、私も驚きで目を見開いた。