イジワル上司に焦らされてます
 


 * * *



「……そんなわけで、結婚します」



ある春の日、見慣れすぎたオフィスで堂々とそれを口にすれば、隣のデスクにいる彼女は頬をそっと赤く染めた。

約7年。俺の隣に部下として座り続けた彼女は、プライベートでも俺の隣に居続けることになった。



「とりあえず、式とかはこれから考えますので、ご報告までに」

「ふ、不破……お前……やっとか……」

「…………」

「えぇ……っ、カニさん!? なんで泣いてるんですか!?」

「いやー、カニさんの気持ちもわかるよ。俺もちょっと泣けてきた。やっと不破くんの気持ちが報われたのかぁって」

「サルさんまで……しかも、不破さんを思って泣くとか意味がわかりません……」



向かいのデスクで俺たちの結婚を喜んでくれている二人には、なんだかんだと色々なことが筒抜けだったらしい。

まぁ、それもこれも何もかも、隣で驚いているコイツのせいなわけだが。

この意地っ張りのせいで、俺たちの関係が変わるまで7年という年月が掛かってしまったせい。

 
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