イジワル上司に焦らされてます
「そもそも、もしも私が蘭だったら、デザイナーになんてならずに、その最強のルックスを活かして別の道を歩んでるなぁってこと」
「どうして急に、そんな話になるの……」
「えー?だって蘭って、まさに宝の持ち腐れだよなーって。アンタのルックスなら、モデルや下手したら芸能人にでもなれたでしょうに。大体にして、なんでデザイナーになろうと思ったの?」
「、」
その突拍子もない質問に、一瞬、戸惑って。
少しだけ視線を彷徨わせた後小さく息を吐くと、私は自分の心を確かめるように、再びゆっくりと口を開く。
「それは、小さい頃からの夢で……私は─── 」
「あー、私が蘭だったらなぁ」
「……っ、」
「玉の輿結婚して、今頃は超セレブな生活送ってるかも」
カラカラと、笑いながらそんなことを言うマキも、今日はお酒が進むペースが速いこと。
どうして今の今まで、私は気付かなかったんだろう。気付けなかったんだろう。
……本当に、私って、バカだ。
「うわー、そう考えると、それが一番勿体無い!頂戴よ、その最強のルックス。私だったら、超有効活用するわ」
「……これから結婚する人が、何言ってんの?」