flower



どうして抱きしめられてんの?
今日初めて会ったのに……



「……日向、覚えてない?」



先生は何のことを言ってるの?



その後2人とも声を発することなく時間だけが過ぎていく。先生は何のことを言ってるのか教えてはくれない。





カチッ…



ケトルの湧き上がった音で、先生の腕から離れるタイミングが出来た。



「先生?お湯沸いたみたいです。コーヒー入れるんで、離して貰えますか?」



一瞬ギュッと力を入れられたかと思うと、少しずつ力が抜けていき、先生が離れていくのがわかる。



チクッ……ペロッ…


「…………ヒャッ…ァ……」



首か肩か微妙な場所に先生の唇が触れ、ピリッとした痛みが走ったかと思うと先生の熱い舌先で舐められた。



「クスッ……日向の首が綺麗だったからつい。」



首が綺麗って…褒められてるのか何なのか不思議な気持ち。



私の髪は自慢ではないが、生まれつき色素が薄く琥珀色に近い。それを数年掛けて腰の辺りまで伸ばした。元はストレートなのだが友達に勧められて美容室でデジパをかけているのでフワフワだ。



頑張って伸ばしたのは良いが、何か作業する時は邪魔になるので、さっきコーヒーの支度を始める際に左側にまとめていた為、右側は首が見える状態になっていた。



それが失敗だった。私はまとめていたヘアゴムを急いで取り、髪を手ぐしで解き、首を完全ガードする。



それを見て先生が口元を手で抑えながらまたクスクス笑っている。



「…それより日向、こんな時間に家に男連れ込むものじゃないよ。俺だから良いものを…今度から絶対俺以外の男家に上げないこと。」



何か説教始まってしまった。それもよく訳のわからない内容の説教。



説教が止まらない先生を無理矢理リビングに押しやり、お湯をカップに注いでいく。コーヒーの良い香りがする。


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