好きだけど、近づかないでくださいっ!
当然、運転席には課長が乗っている。わかっているはずなのに、あえて確認してまたスキサケが発動しそうになり、シートベルトに手を掛けた。

「おい、シートベルトはずしたら車、路肩に停めて、濃厚なチューぶちかますぞ」

無理ー。そんなことされたらきっと二、三日は気絶したまま。

身震いしながらおとなしくシートベルトに掛けた手を離した。



「お前さ、なんで急に態度変えたわけ?すげぇ気に入らねえわ」

あっ、大丈夫。課長の口調が変わった途端、やっぱり気持ちが安定してきた。ゆっくりと運転席を見ても特に避けようとすることもない。

運転席の課長は真っ直ぐ前を見ているけれど、その表情はさっきも感じたような切ない横顔。

「・・・す、すみません。でも、今の課長なら大丈夫です。普通にお話も出来ます」

「はあ。何だよそれ。言っとくけど俺、何も変えてねえし、二重人格でもねえからな」
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