エリート上司と偽りの恋
「ごちそうさまでした。あっ、そういえば気になってたんだけどさ、加藤って新海君のことは好きになってないの?」

「なんですか?突然。なってませんよ」

「あれー?じゃーおかしいじゃん」

亜子さんの言葉の意味が分からず、私は首を傾げた。


「だって新海君イケメンだよ。管理部の女子たちも騒いでたし。加藤の言い分だと、イケメンが近くにいたら好きになっちゃうんじゃないの?」


そう言われれば、そうかもしれない。新海君は確かにかっこいいし、しかも優しい。
何度もふたりで飲みに行ってるのに、私は好きになってない……。

黙り込んでいる私の背中を、亜子さんがポンと叩いた。


「結局さ、加藤は自分で気づいてないだけで、好きになるには顔以外にもなにか理由があったんじゃない?結果的に傷ついてきたから、それを〝イケメンだったから〟って決めつけてただけで」



イケメンは苦手だ。好きになっても、結局傷ついて終わるから。もう傷つきたくない。

だけど、きっと亜子さんの言うことは正しい。

裏切られたり傷ついたことを全部相手のせいにしてきたけど、私にもなにか原因があったのかもしれないから。



「私は篠宮主任って素敵な人だと思うよ。だから、嫌だ嫌だと言いながら惹かれる加藤の気持ちはすごく分かる」


惹かれてません、なんてもう言えない。

認めたくなかったけど、亜子さんに相談している時点で、確実に私の気持ちは主任に傾いているから。


「あんないい男に好きって言われたんだからさ、逃げてばっかいないで一回向き合ってみたら?」


正直言って怖いけど、傷つくことを恐れてたらいつまでたっても恋なんてできない。


篠宮主任のこと、もっとちゃんと考えてみようかな……。



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