エリート上司と偽りの恋
「正直、驚きました……」
うつむいたままの彼女が呟く。
「女性の扱いに慣れてそうですね、とか昔はよく言われた。でも実際はこんなに情けない男だったんだ」
彼女には嘘のない、本当の自分を知ってもらいたいと思った。
好きだという思いだけが、俺の口と体を動かしていたということ。
本気で好きになったから、手を握りたい、抱きしめたいと思う。
「自信があるわけじゃない、好きだからずっと側にいたいと願うんだ」
彼女は顔を上げ、俺を見つめた。目に溜めた涙を溢すまいと、必死に堪えているように見える。
「……でも……でも、私は……」
なにを言いたいのかは分かってる。
だからこそ、全てを話さなきゃいけないんだ……。
「話には、まだ続きがあるんだ」