完璧なカノジョの秘密


でもまあ、飯島君が気を配ってくれたおかげで、2人は晴れて恋人同士になったよ、飯島君。


後で聞かされるだろうから、私からは秘密にしとこう。


「飯島君は、私に何を懺悔し、誓いにきたのかな」

「あ、そうだった!!」


そう言って、飯島君は、私の前に両膝をついて祈るように手を合わせる。


うん、なんかまるで仏様になったみたい。


「ざ、懺悔を!!」

ービクッ


飯島君の突然の大声に、私は肩を震わす。

なんか、すごく力入ってたけど、なんの懺悔がしたいんだろう、飯島君…。


私は、ゴクリと息をのんで口を開く。


「では、懺悔しなさい」

「はい!!お、俺は………」


気持ちが先走って、うまく声が出ない飯島君を見守る。


「俺、まりあ様に出会うまで、自分の気持ちを伝えるなんて事……絶対出来ない弱い人間だった」


それは、きっとあの剣道対決の時の事を言ってるんだ。


あの時の飯島君は、言っても、伝えても無駄だって諦めてたんだよね…。



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