恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
抱き締められてドキドキして、怒られてゾッとして。

なのに、旬から私を守ってくれて。

失恋した私を慰めてくれて。

ああ、私って、なんて小さいんだろう。

あんな風に私を守ってくれた先輩を、たった一枚の画を破られただけで避難して傷付けて。

翠狼達に殺されそうになったのだって、先輩のせいじゃない。

きっと私には分からない、何かがあるんだ。

だって翠狼は言ってた。

『許嫁が死んだとなると、白狼は長になれない』って。

「先輩……ごめんね」

私がそう言うと、先輩は眼を見開いて私を見つめた。
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