恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
私はゆっくりと首を横に振った。

「ボロボロになったのは、私がただドジだっただけ」

ほんと、私はドジだ。

もっと上手いやり方があったかも知れないのに。

でも、私は清々しかった。

「先輩、そんな顔しないで。私、先輩に出会ったから生まれて初めて勇気を出して、自分の胸のうちを言葉に出せたんです。ありがとう、先輩……」

「瀬里……」

ああ、もう。

何度目の気絶なんだろう。

逞しいだけが取り柄だと思ってたのに。

「ごめん、先輩……痛すぎて……もう、無理……」

私は遂に力尽きて眼を閉じた。

先輩に、何度もごめんって思いながら。
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