恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
「本当か?
……今までに翠狼の暗示が解けたなんて例がないのに、どうして」

だって、先輩が好きなんだもの。

暗示になんてかかってる場合じゃない。

でも私は、一方的に『好き』を押し付けて先輩を煩わせたくなくて、黙っている事にした。

その代わりギュッと抱き付いて、先輩の愛しい顔を見上げた。

「じゃあ、誉めて。私、もう二度と暗示にはかからない。自信があるの。それにね、翠狼は、傷付いてるだけで心底先輩を憎い訳じゃないと思うの」

先輩が眉を寄せて私を見つめた。

「先輩、翠狼と仲直りして。彼の苦しみを分かってあげて。そしたらきっと先輩は……天狼神の血を受け継いだ先輩たち人狼は、無敵だよ」

「瀬里、お前はこんなにボロボロになりながらなにやってたんだ。俺や翠狼の為にお前は」
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