恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
ダメだ、時間がもったいない。

こうしている間にも先輩の身に何かあったらと思うと、いてもたってもいられない。

私は身を翻すと大通りを目指して駆け出した。

タクシーを拾って、一度先輩の家へ戻ろう。

先輩の部屋に、何か手掛かりがあるかも知れないし。

前に先輩が言ってたもん。

人狼にも派閥があるって。

なら、先輩を支持している派閥だってあるはず。

その中の誰かに連絡を取って……!

「乗れ」

いつの間にか、翠狼の車が私の傍らにピタリと付いて徐行していた。

「早くしろ」

「う……うんっ」
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