恋した彼は白金狼《プラチナウルフ》
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午前零時。

迂闊にもウトウトと眠り込んでいた私の手の中で、スマホが鳴った。

『……瀬里』

「あ、は、はい!寝てませんでした」

いや、寝てたんだけども。

『……フッ』

先輩の小さな笑い声が嬉しくて、私も少し笑ってしまった。

「今から出ます」

ああ、ドキドキする。

うるさい胸に手をやりながら玄関ドアを開けると、数歩の距離に先輩の姿を見つけた。

満月の光を浴びた先輩は、あの日と同じように素敵だった。
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