御曹司による贅沢な溺愛~純真秘書の正しい可愛がり方~
様子を見守っていたしのぶに、美月は大丈夫だという意味を込めてうなずいた。
「ーーじゃあ私はあっちでダラッとしてるから」
しのぶは肩をグルリとまわしながら、美月と滉一のそばを離れていく。
「……隣、座っていいか」
「うん」
ベンチは出入り口から死角になっており、建物の陰になっている。
美月の隣に、拳二つ分ほどの距離を開けて、滉一も腰を下ろした。
「滉一くん、結婚はいつなの?」
「……来月婚約して、式は秋かな」
「そっか。おめでとう」
自分でも驚くほど冷静に、祝福する言葉が出た。
「さすがにお式には出られないけど、心から滉一くんに幸せになって欲しいって思ってるよ」
「美月……」
美月の嘘偽りない祝福の言葉に、隣の滉一は、膝の上でかたく拳を握った。
「……ごめんな」
「ううん……」
心変わりを責めても仕方ないのだ。やっとそう思えるようになった。