空の青はどこまでも蒼く
元カレと別れてこの1週間、いろんなことがあった。
元カレに振られたことは、もう何とも思ってなかった。
振られた現実さえ、なかった様に思える。
何なら、付き合ってた事実さえ、なかった様にも思える。


そんな急展開な1週間だった。


別に山野君が嫌なわけじゃない。
年が下なことを気にしているわけでもない。

ただ、どうして私なのか?
そのことが、ずっと引っ掛かっていた。


彼は私を知っている様なことを何度も匂わす。
その度に聞いても、上手くはぐらかされるだけ。


初めて会ったエレベーター。
彼は私の名を知っていた。


元カレと別れた翌日。
山野君はその事実をきっと知ってた。


残業で二人で残ったあの夜。
彼は私のことを、さも知っているかのように振る舞った。


そして飲みに行ったあの日。
【オリンピック】
そのカクテル言葉は【待ち焦がれた再会】


私は過去に彼に会ったことがあるんだろうか?
私が帰国子女なとこも、私がミス皇華に選ばれたことも、彼は全部知っていた。





私の記憶の中に彼は居ない、はず。



「山野将樹・・・・・山野将樹・・・・・」


何回か声に出して言ってみる。
思い当たる名は・・・・・・ない。





あの日から私達の関係は変わりなく、彼から一方的に連絡が来るだけだった。

ただ、変わったのは周りが私を見る目。
周りの女子社員の視線が痛い。


我が社でも上位に入賞するであろう山野君と付き合ってると思われているんだ。
それは女子社員の視線も痛くなる。
否定しても良かったが、それも面倒くさくてしなかった。


否、ほんとは違う。
あんなイケメンの彼女って言う地位に浸っていたかっただけ。
ただ、女子社員からの羨望の眼差しを受けたかっただけだ。



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