空の青はどこまでも蒼く
6
私達は、私達の中ではまだ付き合ってはいなかったが、周囲からは確実に付き合っていると思われていると思う。


昼食は社員食堂で二人で取り、お互い仕事が定時で終われば、一緒に帰る。
彼が付き纏ってるって表現が正しいのかも知れないが、私は私でそれを甘んじて受け入れていた。


「外で会いませんか?」


昼食を取っていたら、急にそんなことを言い出した。


「どういう意味?」
「休みの日、どこか出掛けましょうよ。」
「どうして?」
「どうしてって、デートですよ、デート。」
「どうして?」


山野君の言葉に「どうして?」しか返さない私。
外で会おうと言われた瞬間から、どこに行こうか?とか、何着て行こうなんて考えているのに、私の口は天の邪鬼。


「嫌なんですか?」


山野君、お得意の戦法が出て来た。
嫌と聞かれて嫌とは答えられない。


けど私も、やられてばっかりではいられない。


「嫌じゃないけど、行かないわよ。デートする関係じゃないでしょ?」
「じゃ、行きましょうね。嫌じゃないんだから。」


私がどう答えようと、彼の答えは決まっている。
嫌じゃないと言えば、その先、私がどんな答えを用意しようと彼の計画が進められて行く。


「次の土曜が良いですか?それとも日曜?」
「土曜にする。次の日休みだし。」
「わかりました。じゃ、また後で連絡しますね。」



私は次の土曜が待ち遠しくなった。




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