永すぎた春に終止符を
梨沙は、エレベーターホールでぼんやり立っていた。
「すみません、えっと…」
一瞬誰の声だろうと、後ろを振り返った。
「はい?」
安田さん…まだいたんだ。
「それ、持ちます…」
安田さんが、梨沙の手元にある、段ボール箱を見ている。
「大丈夫です。それほど重くないですこれ。片手で持てますから」
「いいから、貸して。力はちゃんと、君よりあるから。それに、そのまま待ってても、エレベーター来ないよ」
「えっ?」本当だ。エレベータのボタン押してない。
安田さんは、梨沙から封筒の入った段ボール箱を取り上げると、
エレベーターのボタンを押した。
「牧山さんも、結構そそっかしいね。そういうところ、いいなと思うけど。
そうだ…もう、お昼だよね。牧山さんは…どうするの?」
安田さんは、エレベータの上のランプを見上げている。
「今日ですか?えっ?…と、まだ決めていませんけど」
バタバタしてお弁当は作れなかった。
「じゃあ…食べに行きましょう」
「ん?」
「乗りますよ、早くしてください」
「はい…」