永すぎた春に終止符を
保田さんが嬉しそうに言う。
「これで、貸し借りゼロだろ?それで、また、ふりだしに戻った」
「保田さん…」
「迷惑かな?」
「いいえ。私こそ…あなたの思う通りには出来なくて」
本当に申し訳ないと思う。
保田さんが好きっていう女なら、彼の求めてることを素直に受け止めるだろう。
彼だって好意を持った相手を誘って、もっと親しくなりたいと思ってるだけだ。
ひどいことをしてるんじゃない。
「俺の思う通りって?どういう意味かな?」
保田さんは、家まで送るよと言って、私の降りる駅まで電車を乗り過ごしてくれた。
「応えたい気持ちはあると言うか…ごめんなさい。うまく言えなくて」
彼がほっとした顔を見せた。
「もう、怒ってないって事?」
肩を両手でつかんで、抱き寄せようとした。
私が、体を強張らせたので、抱き寄せるのはやめた。
「私は、最初から怒ってなんかいません」
「そっか、よかった」