永すぎた春に終止符を
「こんなところで、止めてください」
「少しは、慣れて」
保田さんが、体をぴったりくっつけて、
「やっぱ、帰したくない。キスもダメ?」
エレベータのドアが開いた。
「少しだけ…ね?君が嫌がってないかどうかだけでも確かめたい」
保田さんがエレベータのボタンを押して、私を覆いかぶさるようにして立ったってる。
彼は、もう一度キスしようと顔を近づけてくる。
保田さんが閉じるボタンを押したところで、もう一度ドアが開き男性が入ってきた。
「あの…人がいるってば」
「関係ないさ。何階ですか?」
保田さんが、男性に背を向けたまま尋ねる。
彼は、他に人がいるのも構わず、ベタな言葉でキスをせがむ。
「五階で」
ん?私と同じ階のフロアを言った。
その男性は、帽子を目深に被りうつむいている。