永すぎた春に終止符を
抵抗するなら今だ。
彼のたくましい上半身を押しのけて、
ふざけないでって、思い切り厚い胸板を押し返してやればいい。
ほら、彼がズボンを脱ぎ終わらないうちに逃げ出さなきゃ…
起き上がって、散らばった洋服をかき集めたところで、彼に引き戻された。
「なにしてるの」
すぐに捕まって、後ろから抱きしめられた。腕を前に回しながら、首筋から、背中にびっくりするほど優しいキスを受ける。
なぞるように、優しく。
体が思い出すように、ゆっくりと楽しかった時間も思い出させるように。
待ちきれないくらい、肌にキスを落とすと、体の向きを変えて、彼の体が重なってきた。
お互いの皮膚がぴったり合う感覚。しっかり馴染んで体に染み付いてる。ずっと着古した洋服のように拓海にしか感じたこと無い、一枚の肌のような感覚。
力が抜かれ、彼がいつものように熱いキスを返すようになるまで、ほんの数分もかからなかった。彼のキスを押し返すどころか、もっと欲しいとせがんで、彼の首に腕を巻きつけている。
こんなふうにされたら、ごまかすことが出来ない。
誰のことが好きなのか。どんなふうに好きなのか。どのくらい相手を求めてるのか…
全部ばれてしまう。
「梨沙、待って。俺も好きだよ。もう少しだから。頼むから、別の男になんか気を許すな。軽はずみな行動はよせ。いいね」