永すぎた春に終止符を
「もう帰りましょう」

いつもより、酔いが回るのが早くて、足元が少しふら付いていた。


「牧山?大丈夫か?ついでだから、送ってくよ」
保田さんが声をかけてくれた。

「はい…ありがとうございます」

「タクシー呼んだから、乗って」
と言われて乗り込んだ。


「大丈夫?気分悪くない?」

「はい」

気分は、悪くなかった。

このところ苦しかった胸のつかえが、保田さんに話すことができて少し軽くなったから。


「肩にもたれてろよ、少し寝ていいぞ」


「はい」


「なあ、牧山…もう少し相手の男をを頼ってやれよ」


「私…十分頼ってます」


「まだまだ足りないよ」
彼は、私の頭をぐいっと倒して、自分の胸のなかに押し込めた。


「どうしたんですか?」

「このくらい頼れって言ってるの。お前、全然男の気持ち分かってない。

男のことを考えて離れていっても、そいつにとっては全然嬉しくないぞ。

どうしたらいいって、甘えてみろ。一人じゃ生きていけないって頼ってみろよ」


「保田さん…ありがとう」

「いいよ、こんなことしか出来ないけど」
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