常務の秘密が知りたくて…
「もしこうしてお前とまた出会えたのが運命っていうものなら素直に感謝する。でも流れに身を任せるのはもう御免だ」

 そこまで言って一息つくと櫂は私の頬に手を添えて顔を近付けてきた。何も言えず目を逸らすことも出来ない。

「俺はお前をもう二度と離さないし、ずっと捕まえておく。覚悟しておけ」

 言い終わるのとほぼ同時に唇が重ねられた。そのまま身を任せているとベッドに再び背中を押し付けられて自分の下に滑り込ますようにして櫂は私の上になっていた。

 その間もずっと続けられる口付けに私は応えようと精一杯で体勢のことまで気にしている余裕なんて微塵もない。預けられる体重が重いけれどどこか心地よく、離れて欲しくなくて背中に腕を回してより密着させる。

「絵里」

 名残惜しく唇が離されて名前を呼んでくれる櫂の声が心を落ち着かせていく。慈しむように頬を撫でられて私はなんだか泣きそうになった。

『運命の人は見つかった?』

 運命なんて信じない。それでももし、もし彼が、彼と出会えたことが――

「ありがとう」

「どうした?」

 不思議そうな表情の櫂に私は微笑んだ。その瞬間、堪えていた涙が零れる。

「ありがとう、私のこと見つけてくれて」

 目を丸くした櫂の顔がくしゃりと歪む。なんだか彼も泣きそうだ。

「それはこっちの台詞だ」

 それからとびきり優しい顔をして笑ってくれた。出会ったときからずっと怒ってるようなつまらなさそうな表情ばかりして。出来れば笑って欲しいな、幸せそうな顔をして欲しい。その顔が見たくて。

 それを自分に向けられる喜びを噛みしめながら私も笑った。誰に訊かれても今、心の底から幸せだと言える。今度は自ら櫂の首に腕を回してその唇に口付けた、いつまでも離れないようにと願って。


fin.
< 100 / 100 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:328

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

世界一の××を君に

総文字数/10,167

恋愛(ラブコメ)1ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
桂木美都(かつらぎみと) (25) × 千島誠一郎(ちしませいいちろう) (28)
表紙を見る 表紙を閉じる
ふと彼と出会って前の人生を思い出しました。 私は前世で男装勇者 彼は宿敵、魔王だったことに。 ちょっと待ってよ、普通は異世界転生とか転移とかそういうもんでしょ。 なんで異世界から現代なの。それ、どこの層に需要あんの? 「だったら、俺をその気にさせてみせろよ」 生まれ変わっても彼は容姿も性格も魔王のままです。 腹黒さもカリスマ性も健在で、しかも大学教員とか偉そうな立場です。 自分の運命を呪うしかありません。魔王と関わるのはごめんです。 いつも余裕たっぷりで、人を見下してからかってばかり。 嫌いで、憎むべき相手で、けっして彼とは……。 「会いたくなかった、思い出したくなかった」 「……そうか」 「とりあえずさー。世界も平和なんだし、ふたりともちょっとは素直になってみたら?」 前世のしがらみで素直になれないツンデレ不器用ヒロインと 前世も現代も溺愛の伝わらない不憫なヒーローを全力でニヨニヨするお話。 初出:ノベマ! 2020.9.30~2021.4.16  野いちご・ベリーズカフェ転載 2025.10.1~
ファン様限定 番外編集

総文字数/154,320

恋愛(純愛)213ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
ファン登録をしてくださった方々に送る番外編集となっています。 更新はファンメールの送信に合わせてしていきたいと思いますが 不定期なのでどうぞご了承ください。 タイトルを変えるかもしれませんが、主に番外編を取り扱っています。 ファン登録してくださっている皆様が少しでも楽しんでいただけますように。 章タイトルは番外編作品のタイトルで 節タイトルが作品タイトルになっています。 (少しややこしくてすみません) ※2025年8月14日 更新※ 『失恋相手と今日からニセモノ夫婦はじめます~愛なき結婚をした警視正に実は溺愛されていました~』 × 『別れてママになったのに、一途な凄腕パイロットは永久溺愛で離してくれません』コラボ作品 フォロワー1000人感謝企画【Happy Ever After】 UP

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop