常務の秘密が知りたくて…
「――い」
ああ、今更ながらに私って常務に名前で呼ばれたことないな。苗字さえないなんて秘書としてどうなんだろうか。
「おいっ!」
「はい!」
反射的に顔を上げると、まさかの常務が傍に立っていて私は混乱した。
「どうされたんですか?」
「それはこっちの台詞だ。俺の前で寝るとはいい度胸じゃねぇか」
その台詞で常務が女性の寝顔嫌いなのを思い出す。机に突っ伏して寝ていた私は敷いていた腕の痺れに眉をしかめながら常務を見つめた。
「帰れって言っただろ。もう十一時近いぞ」
そう言われて慌てて時計を確認するが、間違いなかった。あれから色々と作業をしていて少しだけ仮眠をとるつもりが予想以上に眠ってしまっていたらしい。
不機嫌そうにコートを着たままパソコンを立ち上げる常務に近付く。
「常務、明日の会議の予定ですが午後二時からで調整しておきました。面会を希望されていた岩田様には午後四時でお返事をしています。それから今週の会議で必要としていたデータ類をまとめておきましたので、またご確認ください」
一気に捲し立てると常務はじっとこちらを見ていた。
「わざわざそのために居残ってたのか?」
「私は秘書ですから。明日の午前中は空けておきましたので、出来ましたら休んでください。……まだこの後も作業されますか?」
訊いてはみたものの、コートを脱ぎにかかっているのを見れば答えはわかっていた。
「仮眠をとってからもう少しだけ、な」
常務の顔にはさすがに疲労の色が滲んでいた。仮眠をとるなら私は邪魔にしかならない。時間も時間だしさっさと退散しよう。
ああ、今更ながらに私って常務に名前で呼ばれたことないな。苗字さえないなんて秘書としてどうなんだろうか。
「おいっ!」
「はい!」
反射的に顔を上げると、まさかの常務が傍に立っていて私は混乱した。
「どうされたんですか?」
「それはこっちの台詞だ。俺の前で寝るとはいい度胸じゃねぇか」
その台詞で常務が女性の寝顔嫌いなのを思い出す。机に突っ伏して寝ていた私は敷いていた腕の痺れに眉をしかめながら常務を見つめた。
「帰れって言っただろ。もう十一時近いぞ」
そう言われて慌てて時計を確認するが、間違いなかった。あれから色々と作業をしていて少しだけ仮眠をとるつもりが予想以上に眠ってしまっていたらしい。
不機嫌そうにコートを着たままパソコンを立ち上げる常務に近付く。
「常務、明日の会議の予定ですが午後二時からで調整しておきました。面会を希望されていた岩田様には午後四時でお返事をしています。それから今週の会議で必要としていたデータ類をまとめておきましたので、またご確認ください」
一気に捲し立てると常務はじっとこちらを見ていた。
「わざわざそのために居残ってたのか?」
「私は秘書ですから。明日の午前中は空けておきましたので、出来ましたら休んでください。……まだこの後も作業されますか?」
訊いてはみたものの、コートを脱ぎにかかっているのを見れば答えはわかっていた。
「仮眠をとってからもう少しだけ、な」
常務の顔にはさすがに疲労の色が滲んでいた。仮眠をとるなら私は邪魔にしかならない。時間も時間だしさっさと退散しよう。