カタブツ上司に愛された結果報告書
「田中、彼女の分の会計も一緒に済ませてくれ」

「かしこまりました。では会計をしてまいりますので、代表はお先にオフィスへお戻りください」

「分かったよ、よろしくな」


交わされるふたりのやり取りに呆気にとられているうちに、代表はカフェを後にしていく。

残された私達の間には沈黙の時が流れるばかり。


どうしよう……田中さん気分悪くさせちゃったかな? 盗み聞きしていたと思われた?
いや、まさにその通りなんだけどでも……!


顔を上げることができず、どうしたらいいのか路頭に迷っていると、前方から「申し訳ありませんでした」の声が聞こえてきた。


顔を上げると、いつの間にか田中さんは目の前の席に座っており、頭を下げていた。


「え、ちょっと田中さん!?」


ギョッとし慌てて声を上げるも、田中さんは頭を下げたまま。


「さきほどの会話、聞いていらっしゃいましたよね? すみません、ご気分悪くさせてしまって。聞いていて気分良いものではなかったはずです」


田中さん……。

胸がギュッと締め付けられる。
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