カタブツ上司に愛された結果報告書
こんな自分、田中さんに知られちゃったらきっと嫌われちゃう。――でも、気づいてしまった今、感情を隠したままこれからも彼と付き合っていけるだろうか。


好き、尊敬できるという感情を今後も抱いていける……?

そんなことを考えてしまっていたとき。


「……あれ? キミは確か灯里と同期の……?」


頭上から突如聞こえてきた声に、心臓が飛び跳ねてしまう。

咄嗟に顔を上げれば、足を止めジッと見下ろしていた代表と目が合ってしまった。


「やっぱりそうだ! えぇと……確か滑川さんだったかな? この前、灯里から聞いたよ。ふたりで食事に行ったそうだな」

「……はっ、はい」


私を見て顔を綻ばせた代表とは対照的に、私の顔は凍てついていく。


気になってしまうのは、代表の後ろで立ち尽くす彼の存在ばかり。
けれど怖くて顔が見られない。


「これからも灯里をよろしくな。あっ、もちろん仕事もだが」


「ガハハッ」と笑う代表を尻目に、恐る恐る田中さんを見ると、予想通り私がここにいるとは夢にも思っていなかったのか、驚いている様子。


どうしよう、頭の回転が速い田中さんのことだ。

私がふたりの会話を聞いてしまっていたと、気づいちゃっているよね?
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