カタブツ上司に愛された結果報告書
真由子さんにはしっかり自分の気持ちを伝えて、スッキリしてくると言ったけれどやっぱり無理みたい。


好きだからこそ勇気が出ない。臆病になってしまう。

自分の不甲斐なさにギュッと拳を握りしめ、笑顔を取り繕った。


「えっと、すみません。その……最近こうやって顔を合わせてお話できていなかったので……」


なんとか誤魔化そうと必死に頭を絞って口に出していく。


「そうですよね、すみませんでした。ですが明日が終われば少し落ち着きますので。……それと、他には?」

「え?」


どうにか誤魔化せたと思ったのも束の間、田中さんはいつものように感情の読めない表情で、ジッと私を見つめてくる。


「他にも私にお話したいことがあったのでは? ……でなければあなたがわざわざ尾行してまで来る理由が思い浮かびません」


清々しいほど言い切った彼に、ただ驚かされるばかり。


田中さんとは付き合い始めてまだ間もなくて、デートだってたった一回しかしていない。

まともに顔を合わせて話した回数も数えるほどなのに、どうしてかな?

どうして分かっちゃうの? どうして私の気持ちなんて全てお見通しみたいに言うの?

そんなこと言われちゃったら、ますます言えないよ。
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