カタブツ上司に愛された結果報告書
実さんをここまで不機嫌にさせてしまった要因は、彼に内緒で作った招待客への配りもの。


よく披露宴では引き出物と共に、新郎新婦のプロフィールや馴れ初めが書かれたものが添付されている。



披露宴の準備を進めていく中で、プランナーさんに最近では皆さんオリジナリティー溢れるものを制作されていたりするんですよ、なんて話を聞いたら私も……! と思い立ってしまい、灯里ちゃんや友人達に相談し例の物を作ったのだ。


会社の人達には好評で、実さんとは初対面の友人からも『素敵な人だね』とか『二人の出会いが素敵!』なんて言ってもらえたんだけど、実さんには大不評だった。


いまだに不機嫌な彼にすっかり気持ちはへこんでしまい、ポツリと謝罪の言葉を漏らしてしまう。


「ごめんなさい、内緒で作ったりして。……でもあれには、私の実さんに対する気持ちを沢山詰め込んだんです。それに知って欲しくて。会社の人にも友達にも家族にも、実さんがどれだけ素敵な人か」


それでなくともいまだに彼は会社で、“ロボット人間”なんて呼ばれてしまっているのだから余計に。


けれど内緒にしたのは悪かったよね。

せっかくの結婚式だったのに、嫌な思いをさせてしまったのかも。


「……本当にごめんなさい」

そう思うとますますへこんでしまい、力ない声が漏れてしまった。
< 160 / 163 >

この作品をシェア

pagetop