カタブツ上司に愛された結果報告書
名前を呼ばれ、無意識に背筋がピンと伸びてしまう。

そんな中、田中さんは私の瞳を捉えたまま、いつもと変わらない抑揚のない声で淡々ととんでもないことを言い出した。


「お付き合いして下さいませんか？」

「――……え」


予想だにできなかった言葉に、頭の中が一瞬で真っ白になってしまう。


「よろしければ、私とお付き合いさせてください」


再度放たれた言葉に、やはり聞き間違いではなかったと実感していくものの……。


ちょっと待って。
田中さん、それはつまり世の中で言う男女交際で合っておりますか!?


テンパりすぎて心の中で田中さんに突っ込みを入れてしまう。


金縛りにあったかのように硬直してしまう中、表情を変えず田中さんが答えを求めてきた。


「どうでしょうか？」


どうでしょうかって……。
そんなの、答えなんて決まっているじゃない。


二年間片思いしてきた私の恋、たった一日で大きく変わることになるとは……。


感情が読めない田中さんに返した言葉は、もちろん「私でいいなら、よろしくお願いします！」だった。
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